「ねえ、だから…もうここに来るの、やめてちょうだい」


真っ直ぐに私を見て言う茜さん。

なんて言えばいいんだろう。

だって確かに私は、蒼太の死からどんどん悪い方向へと向かってる。


でも…蒼太を忘れるなんて出来ないし、したくない。


「…ごめんなさい、でも…

無理です」


茜さんから顔を背けて、小さく呟いた。



「……蒼太が死んだ日、さ」


視線を茜さんに戻すと、茜さんはまた、蒼太の墓に手を置いて、悲しそうに微笑んでいた。


「私と蒼太、ケンカしたのよね」


――蒼太が、死んだ日。


つまり、私と蒼太の初デートの日だ。