墓地は静かで、油蝉の声だけが響いている。
昼なのになんだか不気味だ。
記憶を頼りに進んで行った。
――一年ぶり、だ。
去年の蒼太の命日以来。
あの日から私は、蒼太の墓に行くのをやめた。
蒼太じゃない男と遊び回っている私が、ここに来る資格はないと思ったから。
「確か…ここらへん」
記憶にある場所と近い気がする。
少しうろうろすると、蒼太の墓はすぐに見つかった。
蒼太のお姉さん――
――茜さんが、立っていたから。
茜さんは私に気づくと、驚いたように目を丸くして、小さく会釈した。
私もとっさに頭を下げる。
茜さんの髪の毛はやっぱり黒くなっていて、二年前の面影はもう、なかった。