ヒールを履いて家を出る。

今日も暑い。

日の光が眩しくて、思わず手をかざした。


「…ナオ、おはよう」


その声に気づいて、目だけで声の主を探した。


家の前に、シロが立っていた。


「…おはよう」


なんでアンタがここに?

なんて思ったけど、幽霊のシロに聞いたって意味ないと思ったから、黙っておいた。


「どこに行くの?」

「…時計台で待ち合わせ…だったかな」


記憶を探りながら答える。

シロは不思議そうに首をかしげた。


「誰と?」


誰…か。


「…男?」


好きな人でも彼氏でもない。

じゃあ…なんなんだろう。



「……ナオは、ソウタが好きなんじゃないの?」




お願いだから――…



蒼太と同じ、そんな無垢な瞳で、私を、見ないで。