嘘だ。

全部嘘だ。

信じるもんか。


噛み締めた唇から血の味が口の中に広がっていった。


絶対私は信じない。

幽霊なんて。


だって、そんなの信じてしまったら…




蒼太が幽霊になってるかもって、期待してしまう。





「…お母さん」

「なに?」


「優也の家行ってくる」



そう言ってお母さんに背を向けて、シロの冷たい手を握りしめた。

お母さんが何かを言っている。

でも、それどころじゃないんだ。




優也。


優也。




あなたなら…ほんとのこと、言ってくれるよね…?