「ねえっ!!」


気づいたら、喉から声が飛び出していた。

彼は振り向いた。

悲しそうな微笑みを浮かべたまま。


「明日も…会えない?」


このまま別れてしまうのが怖かった。

赤い傘を持って笑う彼が、どうしても…『あの日』の蒼太に見えたから。


彼は少し考えて、頷いた。

みるみるうちに自分の頬が赤く染まるのがわかる。


嬉しい。

ただただ、嬉しかった。


もう少し…もう少しだけ…


夢を、見たいんだ。