シロに…会いたいな。


ふとそう思って、部屋を出た。


すると、階段の下に…お母さんがいるのが見えた。



「ああ奈央…出かけるの?」

「あー…うん、ちょっと散歩に」

「遊びじゃなくて?」

「うん」


私がうなずくと、お母さんは優しく微笑んだ。


「最近奈央…良いことでもあった?」

「え…なんで」

「なんか雰囲気変わったなあって」


…そうかな?

だとしたら、やっぱり…


「…シロのおかげ…かな」


ああ、はやくシロに会いたいな。


誰かの温もりがこんなにも恋しいと思ったのは、蒼太が死んで以来だった。