シン、というのは、部活での私のニックネーム。
名字の新を音読みにしただけという、シンプルな由来だ。

…最初、西野が読み間違えたことから始まったのだが。

西野は、チューバのマウスピースを吹き
た。
大きなマウスピースを、少しだけ頬を膨らませて吹いている。
四分音符、八分音符、十六分音符、三連譜…

私はその音を聞きながら、カバンを置いて、楽器庫へと向かった。


私と西野は、同じ楽器、チューバを吹いている。
西野は小学校から。
私は高校に入ってから。

一応、足を引っ張らない程度までは成長できたかな、と自分では思ってる。
周りのみんなは、上手くなったよねぇ〜、としみじみと言ってくれる。

…楽器と私を見比べながら。


「シン、お前はいつまでたってもチューバが似合わないよな。
ユーフォ吹けば?」

「うるさい。」


チューバは、金管楽器で、最低音を出す大きな楽器だ。
もので例えると…カラーボックスと同じくらい?
(よくわからないけど)
重くて、とにかく大きな楽器だ。

私は、身長150㎝。
人は私を小さいだの、チビだの、可愛いーだの言うけど。

…今から伸びるもん!