「少し、時間をください。」
「…そうだな。
じゃあ、金曜日に面談するからその時までにな。」
「金曜日…明後日ですか。」
もう少し時間が欲しい…
そう思ったが、私は取り敢えず頷いて、進路室を後にした。
ーホームルームが終わって30分も経ったからか、校舎は静まり返っていた。
グラウンドからは、野球部やらラグビー部やらの掛け声が聞こえて来た。
耳を澄ますと、微かに楽器の音も聞こえる。
このよく通る音は、トランペット。
…サッチーの音かな?
少し深呼吸をして、私はカバンを肩にかけて音楽室に向かった。
ー今は、部活…吹奏楽を頑張りたい。
夏の、最後のコンクールに向けて。