「七瀬」

「ん?」

不意に結城の声が聞こえたかと思うと、ふわりと暖かい空気が身を纏う。

それが結城に抱き締められているのだと脳が理解するより早く、体が一気に熱を帯びる。

「ゆ、ゆうっ..!?」

「...やっとだ」

「え?」

「やっと二人きりなんだ、これくらいいいだろう」

「え、あ、で...も」

心臓はこれでもかというくらい、ばっくんばっくんと大きな音をたてている。

「だ、誰かにみられるよっ...!?」

「別に知り合いじゃないんだから構わないだろう」

「そういう問題じゃっ...!」

私の反抗も虚しく、結城の腕の力は一層強くなる。