あたしは 陸が好きだったのか
それとも 高也が好きだったのか

どれも分からないこの感情

もう既にこのときには
自分を見失っていたんじゃないか
いや、見失ったのではなく
自分が変わったんだと思う




しばらく陸がいなくなっていて
それに気づいたのは
ほんの20分後頃。

あれ?陸...

姿が見えない

どうしたんだろう。

周りを見渡し 陸の姿を探すが
見当たらない
お風呂かな...
そう思って 目を正面に向けたとき
陸がいた

『陸 いなくなったかと思った』

陸が差し出したのは
カシスオレンジの酒

「呑みなよ」

『ありがとう』

陸の顔が少し怖かった
なんていうか 目つきが鋭く
優しい笑顔の裏に何かがあるような
一瞬 そう思ったのも束の間。

なんだか楽しくなってきた

お酒が効いてきたのか
気持ちが楽になる
それに 隣にいる陸か
愛しくて たまらなかった
陸は 笑って 色んな話をしてくれる
楽しくて 楽しくて
でも ふと思う

高也も いたらなぁ

こんなこと贅沢なのか
けど 高也の存在の欲には
決して 嘘はつけないほど
あたしのなかで 高也に特別な何かを
求めていた

お酒が効くと 酔も効く
そこまで お酒は強くない
楽しければ 止まらず呑んでしまうことも
あるが 気分が可笑しくなるから
自ら お酒に手は伸ばさない
でも 今日だけは
楽しくて仕方ない
どんどん 陸と酔とこの楽しさに
惹かれてく

あっけなく時間は過ぎて
なんだか 疲れた

陸は あたしを寝室に呼んだ
疲れただろうと

休ませてくれるのだと思った


綺麗な 青白いベッドに
疲れた体を休ませようと
横たわったとき
陸は あたしに手を伸ばしていた


初めて覚えたもの
快感というものに 身をしみて味わった
熱い呼吸も 息も
ひとつひとつを感じる

答えていくあたしの体は
陸の欲求でさえも 受け入れていた


目が覚めた朝
偽りの痛みを受けていた