香川が言った自宅付近のレストランは、オーナーシェフが一人で切り盛りする小さな洋食店で、イタリアとスペインの料理をミックスしたような、独創的なメニューで味は素晴らしかった。しかし……、加奈子にそれを味わう余裕はなかった。
加奈子は時が進むにつれ、怖じ気づき、着いて来た事を後悔しだしていた。何か帰る口実はないかと考えたが、上手い口実は思い浮かばない。アルコールの勢いを借りようと、赤ワインをかなりのペースで飲んでみるも、今夜に限ってちっとも酔わなかった。
「そろそろ行きますか?」
「あ、はい……」
レストランを出て、歩く事数分で香川の住むマンションに着いてしまったらしい。
「ここです」
と言われ、加奈子は眼前に立ちはだかる20階程の高層マンションを見上げ、軽い目眩いを覚えた。
加奈子は時が進むにつれ、怖じ気づき、着いて来た事を後悔しだしていた。何か帰る口実はないかと考えたが、上手い口実は思い浮かばない。アルコールの勢いを借りようと、赤ワインをかなりのペースで飲んでみるも、今夜に限ってちっとも酔わなかった。
「そろそろ行きますか?」
「あ、はい……」
レストランを出て、歩く事数分で香川の住むマンションに着いてしまったらしい。
「ここです」
と言われ、加奈子は眼前に立ちはだかる20階程の高層マンションを見上げ、軽い目眩いを覚えた。