仕事が終わり、少し時間差を置いて加奈子と香川は社を出た。いつもならこのタイミングで快活に行き先を加奈子に告げる、もしくは提案する香川だが、今夜はいつもと違い、何だかもじもじした感じでなかなか話を切り出さない。
どうしたのかな、と思って加奈子が香川を見上げると、
「あの……今日は少し遠くへ行ってみたいと思うんだけど、どうだろう? 明日は休みだし……」
と、いつになく歯切れの悪い言い方をした。しかも加奈子とは微妙に視線を逸らし、気のせいか頬の辺りが赤くなっている。
「遠くって、どのくらい遠いんですか?」
「そんなに遠くはないんだ。電車で30分ぐらい、かな」
「それくらいならいいですよ?」
「そうか。実はその……僕のマンションの近くに小さいけど洒落たレストランがあってね……」
「あ、そうなんですか?」
「そこで食事をした後、ちょっと寄ってみてほしいかなと……」
「どこへ寄るんですか?」
「ぼ、僕のマンションなんだけどね」
それを聞き、今夜の香川のいつもと違う態度の理由に、加奈子はようやく気付くのだった。
どうしたのかな、と思って加奈子が香川を見上げると、
「あの……今日は少し遠くへ行ってみたいと思うんだけど、どうだろう? 明日は休みだし……」
と、いつになく歯切れの悪い言い方をした。しかも加奈子とは微妙に視線を逸らし、気のせいか頬の辺りが赤くなっている。
「遠くって、どのくらい遠いんですか?」
「そんなに遠くはないんだ。電車で30分ぐらい、かな」
「それくらいならいいですよ?」
「そうか。実はその……僕のマンションの近くに小さいけど洒落たレストランがあってね……」
「あ、そうなんですか?」
「そこで食事をした後、ちょっと寄ってみてほしいかなと……」
「どこへ寄るんですか?」
「ぼ、僕のマンションなんだけどね」
それを聞き、今夜の香川のいつもと違う態度の理由に、加奈子はようやく気付くのだった。