それから一週間が過ぎてまた週末を迎えた。

お盆を過ぎても夏枯れ状態は続き、電話は殆ど鳴らず、職場全体に活気がなく、まったりした日々が続いていた。


大輔の元気のなさは相変わらずで、最近は痩せてしまっているように加奈子には見えた。心配で声を掛けてあげたいが、何と言っていいか分からないし、美由紀の目が気になる。

あの日加奈子が大輔のアパートへ行った事について美由紀からは何も言われていないが、加奈子が大輔を想う気持ちは美由紀にしっかりばれているだろう。それを思うと美由紀の顔もまともに見られない。


気のせいか顎の線が鋭さを増したように見える大輔の横顔をそっと覗き込み、密かにため息をつく加奈子であった。



不意に香川から加奈子にメールが来た。

『今夜、お付き合いいただけますか?』

相変わらずの堅い文章に加奈子は苦笑いしながら、

『大丈夫です』

と返事を送り、さり気なく香川を見ると、香川も加奈子を見て微かにニコッと笑った。まるで学生同士みたいだな、と加奈子は思った。


これまでの加奈子と香川は、会社帰りに食事をしたり酒を飲む程度で、それ以上の関係はなかった。つまりキスすらまだしていなかった。

今夜も同じだろう、と加奈子は思ったのだが……