加奈子は、目の前に香川がいるというのに、想うのは大輔の事だった。
二人でドライブした時の、爽やかで無邪気な大輔の笑顔を思い浮かべると、今でも胸がキュンとなる。だが、その笑顔が今は美由紀に向けられていると思うと、今度は胸が締め付けられるように痛かった。
「岩崎君、考え事かな?」
「あ、すみません……」
「何か心配な事でもあるんじゃないのかい?」
「そ、それは……」
「例えば嶋田の事とか」
「えっ?」
突然香川の口から大輔の名が飛び出し、加奈子は思わず目を見開き絶句した。
「あいつ、このところ元気がないからね」
「そ、そうなんです。どこか体の具合が悪いのかなって、心配で……。も、もちろん上司として心配という事です。もし彼に倒れられると、仕事に影響が出ますから……」
加奈子は香川の視線を逸らし、しどろもどろでそう答えた。そんな加奈子を香川が哀しげな目で見ていた事を、加奈子は知らなかった。
二人でドライブした時の、爽やかで無邪気な大輔の笑顔を思い浮かべると、今でも胸がキュンとなる。だが、その笑顔が今は美由紀に向けられていると思うと、今度は胸が締め付けられるように痛かった。
「岩崎君、考え事かな?」
「あ、すみません……」
「何か心配な事でもあるんじゃないのかい?」
「そ、それは……」
「例えば嶋田の事とか」
「えっ?」
突然香川の口から大輔の名が飛び出し、加奈子は思わず目を見開き絶句した。
「あいつ、このところ元気がないからね」
「そ、そうなんです。どこか体の具合が悪いのかなって、心配で……。も、もちろん上司として心配という事です。もし彼に倒れられると、仕事に影響が出ますから……」
加奈子は香川の視線を逸らし、しどろもどろでそう答えた。そんな加奈子を香川が哀しげな目で見ていた事を、加奈子は知らなかった。