「あれ? なんだろう……。目にゴミが入ったのかな」

「ごまかさないで。あんた、悩んでるんでしょ? 香川さんにオッケーした事、本当は後悔してるんじゃないの?」

「そ、そんな事は……」


“ない”とはっきり言えない加奈子だった。


「ねえ、はっきり言うけど、加奈子は大輔君が好きなんじゃないの?」


志穂にズバッと言われ、隣で祐樹が驚いた顔をしたが、当の加奈子もびっくりした。志穂の前で、そんな素振りは見せた事がないはずだから。


「え、ち、違うわよ。なんで私が……」


否定はしたものの自分と目を合わせようとしない加奈子を見て、“やっぱりそうなんだ……”と志穂は心の中で呟いた。


「私はね、大輔君も加奈子の事が好きだと思ってる」


志穂のその言葉に、加奈子も祐樹も“えっ?”という顔をした。


「ね、そうでしょ?」


志穂は祐樹を向いてそう言った。大輔と親友の祐樹なら、それを知ってるはずだと思って。ところが……