「飲んで? 外は暑いでしょ?」

「うん、それはもう……」


志穂が出してくれたアイスティーを加奈子がストローで一口飲むと、それを待っていたかのように志穂が口を開いた。


「早速だけど、報告ってどんな事?」


志穂は目をキラキラさせ、いかにも加奈子の話に興味津々という感じだ。それで加奈子はますます話しづらくなり、


「それはその……」


と言い淀んでしまった。それを志穂は勘違いして、


「祐樹には外してもらう?」


と言った。つまり、祐樹がいるから加奈子は話しづらいのだろうと。


「ううん、いいの。ここだけの話にしてくれれば」

「という事は、会社絡みの話なのね?」

「うん、そうなるかな」


と言ってから、加奈子は無理をして笑顔を作った。ちゃんと笑えてるか、自分ではよく分からないのだが。


「昨日の夜、花火大会に行ったのね」

「ああ、うちの会社が協賛してるやつですね? 確か嶋田も行ったんですよね?」

「え、ええ、そうです」


祐樹から大輔の名前が出て、せっかく作った笑顔が萎んでしまう加奈子だった。