ついに朝が来てしまった。
緊張のあまり一睡もできなかった。
「どうしよう…。」こんな文字ばかりが頭の中でぐるぐる回っている。
とにかく着替えた。

自分で一番似合うと思うポニーテールをした。少しでも自信を持てるように。



とうとう教室の前まで来てしまった。マイナス思考な言葉が自然と出てきてしまう。悪い癖だ。

扉を開けた。ざわついていた教室が一瞬にして静まりかえった。
それが余計に緊張する。

震えながら口をそっと開いた。
「江沢香連です。父の転勤がきっかけで関西からこの街に来ました。また転校するかもしれないけど仲良くして下さい。」


シンプルな挨拶だ。
何とか噛まずに言えた。
何度も練習してよかった。
関西弁を頑張って標準語で喋らなくてはと思い努力した。

印象をよくするために何度も笑顔を繰り返しながら指定された席に座る。