気付けば朝になっていた。



頭が真っ白になっていつ家に帰ったのかも覚えていない。



起き上がった。

床に落とした携帯が目に入った。


携帯を開いた。


1件の用件が録音されていた。


(用件を1件再生します)

「もしもし?隼人の母です。今日は病院まで来てくれてありがとうね。
隼人、仕事の帰りにどこかのお店に寄ったみたいで。
その帰りに飲酒の大型トラックに跳ねられたみたい…
あとね、隼人の物だと思われる香連ちゃんへのプレゼントがあったの。
隼人の横に転がっていたらしいの。
それね、明日届くみたいだから。それじゃあね。」


(木曜日、午後11時50分です。用件を1件再生しました。)


11時50分……


ちょうど私が眠りについたころだろう。


私は目が覚めたように全てを悟った。


やっと言葉の意味が理解できた。

私はそのままその場に立ち尽くした。



神様、どうして隼人は死ななければならなかったの?


どうして隼人なの?


ライブツアーだって決まっていたのに……。


ファンはどれだけ悲しむことだろう。


緩んだ涙腺から涙が止めどなくこぼれ落ちてゆく……


視界がぼやけて前が見えない。



腰が抜けたように床に座りこんだ。


涙は、まるで降りやむことを知らない、雨のように大粒の涙が、
頬を伝った。