その日の帰りの馬車は静寂に包まれていた。
顔を上げたが勇気がでず、クイーンに用事が入っているからと部屋を飛び出した私を、イアとティープは追ってきてくれていた。
いつからいたのか、外ではクイーンの従者のひとが馬車の扉を開け、待っていてくれた。
なにもいわず、ただ笑顔で。
「シルヴィア、帰ろうか。」
私の気持ちをくんでくれたのか、二人とも優しくしてくれた。
だがシルヴィアには逆に辛かった。
地球に居たから、記憶がないからと、何も教えてくれない。
地球にも戻れない。しかも、自分について知ることもできない。
今の私は無力の存在だった。
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