そっと、少し触れるようなキスは優しさに包まれていた。
そして、どちらからともなく二人は離れる。
「シルヴィア……」
「何?」
「愛してる」
「……う、ん。私も」
赤く染まる頬は二人とも気付いていただろう
しかし、あえて気づかないふりをした。
そんなあたたかい雰囲気のなか、馬車は王宮についた。
カタカタ……
ガタン
馬車の扉は音をたてずに開き、声がかかった。
「さあ、つきました。」
「ありがとうございました」
そう私が言って私達が馬車を降りると、御者の若者は私達を引き止めた。
「あの……お幸せに!」
どうやら私達の声は御者席に筒抜けだったようだ。
「あり、がと……」
ますます赤くなる私を見て、イアはくすくすと笑った。
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