途端、イアは目を大きく見開いた。
そして、私が近づいたよりもっと近づいた。
音も立てずに、まるで滑るように……
そっと
気づけば、彼の顔は目の前にきていた。
額が小さな音を立ててぶつかり、彼の熱が直に伝わってきて胸がさらに高まる。
怖かった
彼は一言も話さないから
その体制のまま、じっと私の目を見つめつづける。
今にも「ごめん」と言われそうで思わず顔をしかめるが、また次の考えが浮かんできて元の表情に変わる。
「なぁ、シルヴィア?」
とうとうきた
「な、何?」
「シルヴィアが結衣だったとき、俺は助けてくれたシルヴィアに何をした?」
「え?」
必死に回想する
あの日、カラオケでイアを見つけて……
確か、看病をしていたが寝てしまったはず
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