背中がスースーして気持ち悪い。
なんかいやだ。
さっきはみんな興奮していて気付いてなかったが、私には羽がない。
穴の開いた服をプレゼントされても
困るのだ。
うん。
「あのぉ……ふつつかな事をお伺いいたします。あなた様はイークリンの方ですか?」
私が嫌な顔でドレスの裾をつまみ上げていると、黙って様子を見ていたメイドが話しかけてきた。
「イークリン?……それなんでしょうか?」
そんな言葉は初めて聞いた。
今までイアはもちろんの事、フランテやティープ、ラギールの口からも発された事のない単語だった。
「イークリンをお知りにならないのですか?」
メイドは驚いた顔をして
口をぽかんと開けている。
「イークリンっていうのは羽を自由に出したりしまったり出来る種族のことだよ。」
こつ、こつ
革靴が床を叩く音がする。
「彼女もそうさ。ねぇ、メイドさん。」
部屋に入ってきたのはイアだった。
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