ヴーヴーヴー
学校に着いた途端、鞄の中でケータイが震える。
廊下を歩きながら開けば、久しぶりに先生からメールが来ていた。
学祭の最終日以来、呼び出されたことはないし、なにもなく過ごしていたのに。
『第3音楽室 すぐ来い』
珍しく“すぐ来い”なんて分かりきったことを書いている。
小さくため息をついて、教室に鞄を置いてから音楽室へ向かう。
コンコン
「お、早ぇじゃねぇか。」
「おはようございます。」
ニヤッと笑いながらこちらを振り向いた先生は、なんだか機嫌がよさそうだ。
「これやる。」
「え?」
ひらひらとプリントをあたしの方へ差し出す。
疑問符をたくさん浮かべながら近づけば、見たくないプリントNo.1に輝くものだった。
「・・・・・なんですか、これ・・・。」
「あ?見て分かんだろ。・・・宿題だ、英語の。」
そう、あたしの目の前に突き出されているのは。
“宮古杏子専用課題”
と書かれた分厚いプリントなのです。