彼女は″ありがとうっ″と心にもなさそうなことを目の笑ってない笑みと共に言って他の2人の元へ戻って行った。
「・・・・絶対言ってくると思った。」
彼女を見送った後、珠樹が小さくも呆れた声で言う。
「ま、引き受けちゃったんだし仕方ないじゃん。やろうよ。」
珠樹をなだめつつ文化委員の元へ行く。
「あたしたち、看板係のリーダーになったんだけど、どうしたらいい?」
あたしも珠樹も、去年は教室の装飾係だったので、看板の作り方なんか分からない。
「あぁ。それなら、これ見ながらやったらいいよ。過去の学祭の資料だから。」
委員長がにこやかにプリントを渡してくれた。
お礼を言って、先ほどまでいた場所へ戻ると、女子集団3人の姿がなかった。
「・・・どこ行ったわけ。」
もはやキレ出しそうな珠樹に変わって、残った2人の男子に声をかける。
「なんか真野に呼ばれて行ったよ。どうせサボりだろ。」
・・・・・・。
だろうとは思いましたけどね、えぇ。
ちなみに、真野というのはあの女子集団のリーダー格だ。
「どうせ手伝う気なんかないんでしょ。いいよ、あたしらだけでやろう。」
もうすでにキレている珠樹は、あたしの手から資料を奪い取り設計図を書き始めた。