アドレスを確認すれば、案の定春市先生だ。
『お礼、したいんだろ?早く来い』
・・・・・・。
この人、絶対みんなに愛される先生になりたい、なんて思ってないよね。
でも、なんだか逆らうとよくないことが起こりそうな、そんな予感がしたから仕方なく席を立つ。
「あれ、杏子?どこ行くの?」
「うん・・・・ちょっと保健室。」
珠樹から目を反らして、そう言い終わる前に駆け出す。
あたしが教室を出たと同時に次の教科担任が入ってきた。
「セーフっ!!」
小さく呟いて、急いで第3音楽室へ行く。
・・・途中で先生にでも会ったら大変だもん。
音楽室についたころには、少し息も上がっていたので、ちょっと深呼吸してからドアを開ける。
相変わらず段ボールやら使われなくなった机が置かれている。
「・・・・先生。いるんですか。」
中に入って、ドアを閉じながら呼びかけてみる。