『ありがとうございましたぁ』
号令係によって挨拶がかけられれば、それに続いてみんなも挨拶をする。
「杏ちゃーんっ。一緒に戻ろうや。」
「・・・うん。」
たぶん、彼はいやだと言ってもダメだと言っても付いてきそうな気がしたから、諦めて小さく肯いた。
「せやっ、もうすぐ学祭やろ?杏ちゃんなんかしたいことあるん?」
「そっか、もう学祭かぁ・・・。今年は露店とかやってみたいかも。」
去年の学祭は、風邪ひいて休んじゃったから、今年は楽しみたいんだ。
「露店ええなぁ!!たこ焼きとか!!お好み焼きとか!!」
隣でだんだんテンションが上がって行く柏木くんに思わず笑みが漏れる。
「一緒に店番とかしような、杏ちゃん。」
きらっきらの笑顔を向けられて、挙動不審になりながらも肯いた。
・・・・・柏木くん、その顔たぶん天然でしてるんだよね。
ほんと、春市先生に負けないくらいの殺人スマイルだわ・・・。
「っていうか。まだ露店出せるって決まったわけじゃないじゃん。」
「はっ!!せやった!!」
あたしの指摘にとても衝撃を受けたような顔を見せる。
この3か月、一緒にいることが増えて分かったことと言えば、柏木くんは、話してて飽きない人だってこと。
事あるごとにあたしのところへ来ては、なんだかんだと捲し立てていなくなるんだけど、それが嫌じゃないってこと。
なんか憎めない人なんだよね。