「杏子の方は?夏休み中会ったの?」


「へ?」


ズズーっとストローでアイスココアを飲んでいると、同じくアイスココアをストローで混ぜていた珠樹が口を開いた。


「ほら、副担。」


副担・・・?


・・・あぁ、春市先生か!!


「うん・・・こないだ会った、かな・・・。」


会ったっていうか、呼びつけられたっていうか。


「ふーん。なんもされてない?」


「さ、されるわけないじゃん!!ただの雑用だもん。」


珠樹は興味なさげに、でも少し心配そうな表情で聞く。


「ほんとに?」


「・・・ボウリング、連れてってもらっただけ。」


「それ、十分されてると思うけど。」


なんて、とっても冷静に言ってのけた珠樹さん。


いや、でも、別にそれ以外なんもなかったし!!


ただの雑用のお礼ってことだもん。


やましいことなんかなんも・・・ない。


・・・・・首筋をそっと抑えて、もう一度なにもないと言い聞かせた。