ひたすら頭の中を駆け巡る問いに、答えが出ることはない。
ただ、あたしがあの人のことを好きなんだって気持ちは、変わってない。
それしか分かんない。
“杏ちゃん!!”
「っ・・・・・・。」
急に浮かんだ顔は、爽やかで。
“おい、あんこ。”
そのあとに続けて浮かんだ顔は、意地悪で。
試合観に行った日から、なんだかんだ続いてる柏木くんとのメール。
たまに、ほんとにたまに、呼び出しの文章だけが送られてくる先生とのメール。
まっすぐに、あたしだけを見てくれてる柏木くん。
いろんな女の子に囲まれながら、あたしを“特別”だという先生。
柏木くんを好きになれば、こんなに幸せなことはないって分かってる。
それでもうるさいくらいに心臓が鳴るのは、先生といるときで。
・・・だけど、あたしの中で、確実に柏木くんへの感情は揺らいでる。
同時に二人の人を好きになるなんて、たぶんありえない。
だから、どっちかへの好きの方が大きいに決まってるから。
・・・でも、どっちへの好きの方が大きいのか、なんだか最近分からなくなってきてるのも、また事実だ。