「ありがとうございました。」
「ちょっとこっち。」
家の少し手前に車を止めたので、シートベルトを外しながらお礼を言うと、手招きされた。
頭に疑問符を浮かべながら少しだけ先生の方へ体を寄せる。
「あっ、ちょっ・・!」
「さすがにもうねぇか。」
あたしの腕を片手でホールドして、首筋が見えるように制服を引っ張った先生はそう漏らした。
「ないって・・・。」
「ちょっと動くな。」
あたしの質問が終わらないうちに、先生の顔はあたしの首筋に埋まる。
「え、ちょっ!!・・・・・いっ・・・。」
いつかの保健室でされたのと同じように、チクッとした痛みと共に感覚が離れる。
「定期的に確認して、薄くなってたら言え。また付けてやる。」
・・・だれが付けてくれって頼みましたか。
意地悪くニヤっと笑った先生に、顔が赤いあたしは反論もすることなくあたふたと車を降りる。
車の中からまだニヤっとして手を振る先生にお辞儀をして、急いで家の中へ。
家族への挨拶もそこそこに、すごい勢いで部屋に戻る。
・・・なんで、どうして。
今日一日を振り返って頭を支配する言葉はそれでしかなかった。