さっさと階段を降り始めていた先生の後を追って、鞄を背負いながらあたしも駆け降りる。
そのまま学校を出れば、先生がついて来いと手で示す。
連れてこられたのは駐車場で、見覚えのある車が止まっていた。
つい最近、同じような状況に置かれていたもの。
「おら、早く乗れ。」
ドアを開けて乗り込もうとした先生が、上半身だけ伸ばしてあたしに言う。
ドキンとか鳴り出す心臓を押さえて、自然な流れで助手席へ。
前は特に思わなかったけど、先生の車の隣座れるとか、すごいことじゃない!?
ファンの子たちにバレたら、あたし殺されちゃうかな。
そんなことを考えていれば、静かに車は走り出した。
「先生って、いっつもあんな雑用ばっかりなんですか。」
「まぁ、週末はだいたいな。別にいいんだよ、そんな大変じゃないから。」
「でも、今回のとか前回のはさすがに・・・。」
「事務員のおっさんが急用で来られなくなったっつったら、やるの俺しかいねぇだろ。」
なるほど、と黙ればふんと鼻を鳴らされた。
あたしに対する態度はこんなに横暴だけど、他の生徒たちとか先生の前では爽やかで仕事のできる新任教師で通ってるわけだ。
そのせいで、何を頼んでも断らないと思われてるんだろう。
・・・ちょっとだけ同情しちゃった。