「ちゃんと俺に奉仕したら、それなりの褒美をやる。3時間で終わらせろ。」


グイッと顔を寄せて、意地悪気にそう囁いて、先生は教室を出ていった。


いや、だから・・・・。


「なにすればいいのよ、これ。」


なんの説明もなしに置いてけぼりにされても・・・。


それに、せっかくの休日を先生に会えるからって理由だけで潰したのに、いなくなるのかよ。


しょうがない、と腰を上げてプリントの山を見下ろせば、1番上に見本なのかホッチキスで止められて束になったものが1つ。


それを取り上げてぱらぱらめくりながら、その下に置いてあるプリントと照らし合わせて分かった。


「この通りの順番で止めろってことね。」


積まれたプリントは全部で5山あって、それを左から順に重ねてホッチキスで止めていけばいいってことね。


理解すればさっそく取り掛かる。


3時間って言ったけど、そんなにかかるもんかしら。


いや、割とたくさん積まれてはいるけど。


こういう単純作業って、ずっとやり続けてると飽きて来るし大変なんだけどさ。


考えていても仕方ないから、さくさく手を進めてプリントの束を作っていく。


途中でなんのプリントなのかと気になったので見てみれば、2年生向けに来年に控えた受験のことや、それへの勉強の仕方とかについてまとめられたものだった。


・・・受験、か。


いまいち目標とか夢とかのないあたしには縁遠い話だと思ってたけど。


このプリントを読んだら、ちょっとだけ焦燥感とかそういうのが出てきた。