珠樹はあまり人とコミュニケーションを取らないくせに、クラスの人たちの情報にはかなり詳しい。
どこにそんな情報網張ってるのってくらい。
だから、純平くん――堺純平という人についても、結構詳しく教えてくれた。
柏木くんと中学が同じで、1年生のクラスも同じなためすごく仲が良いとか。
頭もそこそこよくて、いっつも柏木くんと勝負してるとか。
目指してる大学が柏木くんと同じで、将来は先生になりたいんだとか。
・・・・・なぜか全部、柏木くんを絡めての情報だったけど。
「結構かっこいい人だよね。なんで気づかなかったんだろ、あたし。」
珠樹から話を聞き終わって、1番思うことはそれ。
これでも人並みにイケメンとかには興味があるはずなのに。
「・・・・柏木しか見えてなかったからじゃない。」
「えっ!?」
「柏木が杏子にべったりだから、他の男子とか見てる暇ないでしょ。」
なんだ・・・そういう意味か。
びっくりした・・。
「だとしても、純平くんもあたしのことあんまり知らない風だったよ?」
「あぁ、堺って人に興味持たないんだよね、あんまり。特に女子はさ。」
なるほど・・・って言っていいものかしら。
ま、あたしも人のこと言えないわけだし、いいんだけどね。