その後は危なげもなく試合は進んで、途中柏木くんがゴールを決めるシーンなんかもあって、うちの学校は無事勝利を納めた。


「ふぅ・・。」


安心からか、体の力が抜けて、放心してしまう。


「ちょっと杏子。柏木出て来るよ、たぶん。下降りよ?」


さっきまで呆れてた目は、微笑ましいと言うようなものに変わっていて、珠樹が手を差し伸べてくれる。


そうだ。


柏木くんに呼ばれたから来たんだもんね。


気づいてないかもしれないけど、ちゃんと観に来たってことアピールしとかなきゃ。


・・・・後々うるさそうだから。


「あ、杏ちゃーん!!」


スタンドを降りて、選手用の出入り口付近に立っていると、爽やかな汗をまき散らしながら柏木くんが駆け寄ってきてくれた。


ま、眩しい・・・っ。


「あれ、珠ちゃんも来てくれたん?」


「・・お邪魔みたいですいませんね。」


「そんなこと言うてへんよ。ありがとうな、2人とも。」


眩しすぎる笑顔を向けられてしまえば、珠樹も悪態をつけなくなったようで。