「・・・・・杏子、大丈夫?」
ハーフタイムに入り、選手たちがコートからいなくなると、観客もぞろぞろと席を立つ。
あたしはぐたっと座り込んで、珠樹に心配されてしまった。
「うん、なんとか・・・。こんな緊張するもんなんだね。」
「・・・いや、あんただけだと思うけど。」
少し呆れ気味の珠樹が、さっとタオルを差し出してくれる。
「え?」
「汗、掻いてるよ。」
言われて初めて、額にうっすら汗を掻いていることに気づく。
今日はそんなに暑くもないのに・・。
どんだけ熱中してたの、あたし。
自分でも自分に呆れつつ、ありがたくタオルを受け取る。
持参したお茶を飲めば、喉もカラカラだったんだと気づいた。
「そんなんで後半持つの?」
「なんとか持たせる。」
お互い苦笑していれば、後半戦が始まった。