そして約束の土曜日。


「ごめん、お待たせ。」


「ううん、大丈夫。行こう。」


珍しくあたしより数分後から待ち合わせ場所に着いた珠樹と、隣町の競技場へ向かう。


「どことやるんだっけ?」


「北だったはず。結構強豪だよね。」


昨日の夜、柏木くんからまた確認のメールが届いていた。


そこに、試合時間と対戦相手などが書いてあり、それをもとに珠樹と打ち合わせをした。


「そっかー。勝つと良いね。」


心なしかワクワクした様子の珠樹が、髪を直しながら言う。


「うん・・・。」


「どうしたの、浮かない顔して。」


「なんかこういうの、初めてだから・・・。緊張しちゃって。」


「杏子が緊張する必要ないじゃん。」


なんてちょっと笑う珠樹の言う通りなんだけど・・・。


負けてしまわないかな、とか、怪我したりしないかな、とか。


体育祭のときにはここまで思わなかったのに。


相手もそれなりに上手い人たちなわけで本気度は違うだろうし、サッカーは怪我の多いスポーツだというイメージがあるせいだろう。