ちょっと混雑してきたので、長居するのも悪いと珠樹とファミレスを出る。
「どこ行こうか。」
「行きたいとこないの、杏子。」
昨日あれだけ楽しみにしてて、どこ行こうかとか考えたんだけど、結局なにも思いつかなかったんだ。
「とりあえず、ぶらぶらしよう。」
うーん、と考え込んだあたしに、珠樹はクスクス笑いながらそう言った。
2人で町の中心部に歩き出して、ちょこちょこと雑談をする。
「そういえばさ、柏木に誘われてた試合、どうするの?」
「え?・・・行くしかないでしょ。」
苦笑しつつ返せば、珠樹はふーんと頷く。
え、なんでそういう反応?
いつもならなんだかんだとバカにしてくるのに。
「それさ、あたしも行っていいかな?」
「・・・も、もちろん!!1人じゃ心細いと思ってたとこ!!」
しばらく珠樹の言葉を頭の中で噛み砕いて、勢いよくそう返す。
珠樹を誘っても、どうせ即答で断られると分かってたから特に声をかけることもなく、1人で行くつもりだったのだけど。
宏くんのこともあるから、と思ってたのだけど。
思いがけず珠樹と試合を見に行けることになって、あたしはさらにテンションをあげた。