「_____________では、決して浮かれることなく、充実した夏休みを送ってください。」
気だるい校長先生の挨拶が終われば、終業式が終わったも同然。
中間テストが終われば、次に待ち構えているイベントは夏休み。
きっとみんな頭の中お花畑で、この集会だって何人が集中してるかわからない。
あたしも、漏れることなくお花畑だけどね。
「じゃあみんな、休み明け元気に顔見せてね。」
望月先生がまるでお母さんみたいに言葉をくれれば、号令がかかって解散になる。
「やっと夏休みだ!!」
「あたし彼氏と海行くんだぁ!」
「明後日からハワイだから。お土産期待しといて!!」
それぞれが普段より少し高めのテンションで夏休み関連の感想を口にする。
「・・・・みんなリッチだなぁ。」
「ほんと。どこにそんな金あんのよ。」
ド庶民のあたしと珠樹は、そんな会話たちに耳を澄ませながらため息を漏らす。
ま、あたしは例年通り、宿題をさっさと終わらせてあとはダラダラする生活を送ろう。
「杏ちゃん!!」
鞄を背負って帰ろうと思えば、もはや聞きなれた呼び方をされる。