枚数を数えてみれば、30枚近くある。
初歩的な文型の話から、徐々に応用編へ突入していく感じのプリントだ。
「・・・確かに、これは終わらんな。」
珠樹が難しい顔をして腕を組む。
珍しく、心配してくれてるのかしら。
「杏子はさ、進学するんでしょ。」
「え、うん。」
「英語、できなきゃダメなの分かってるよね。」
・・・あれれ。
この会話、いつか音楽室でやったな。
「・・・分かってます、重々承知しておりますから、珠樹様・・それ以上は・・・。」
顔の前で両手をそろえて、悲痛な顔をしてお願いすれば、珠樹はそれ以上なにも言わないでいてくれた。
・・・運動神経は変わらないくせに、勉強だけはトップクラスだもんな、珠ちゃんは。
「とりあえず、少しでもやっておけば心象違うんじゃない?」
という珠樹の助言によって、あたしはこの2日で30枚をどこまで終わらせられるかに挑戦することになりました。
・・・10枚も、進められる気がしないけど。