「んっ・・・・・、あれ・・・。」


「気ぃついた!?」


薄く目を開けると、白い天井が見えて、あたしは寝かされているんだと分かった。


恐らく保健室なのだろう。


少し声を出せば、弾かれるようにして立ち上がった柏木くんが視界に入る。


「柏木、くん・・・?」


「そうや、分かるか!?」


「あたし、どうして・・・?」


焦りが見て取れる柏木くんは、あたしの手をぎゅっと握っている。


「バレーの試合中、ボール当たってん。そのまま倒れたから焦ったわ。」


あぁ、そういえば・・・。


説明を聞いて、自分がどうしてここにいるのかを思い出した。


「・・柏木くんが、ここまで・・・?」


「ん?・・おう。無我夢中とはまさにあんときのことやわ。」


ちょっと恥ずかしそうに頬をポリポリと掻きながら教えてくれた。


「・・・そう、ありがとう・・。」


「当たり前のことしたまでや。とにかく、杏ちゃんが無事でよかった・・。」


ヘタッと椅子に座りこんでしまった彼からは、本当に心配してくれてるんだということが伝わった。


未だに握られた左手を見ながら、少しだけ春市先生に期待してしまった自分を責めた。