柏木くんの活躍で、サッカーは無事うちのクラスが優勝できた。


「杏子、次あたしたちだよ。」


「・・うん。・・・やりたくなさすぎる。」


正直、代わってくれる人がいるのならお願いしたいくらい。


授業でやるバレーすら、まともにできたことないのに。


「・・杏ちゃん!!ファイトやで!!」


自分も試合終わりで疲れてるはずなのに、一番前で声援を送ってくれる。


ガッツポーズで頑張れ、と言ってくれる彼を見たら、少しだけ頑張ってみようと思えた。


「あ・・。」


体育館の入り口に、女子に囲まれながらこちらを見ている春市先生も見つけた。


ピーっと笛が鳴って、試合が開始されたことを知らせる。


ネットの向こう側から勢いよくボールが飛んできて、こっちからもテンポよく返す。


「杏子!!」


珠樹の声で、ボールがこちらに飛んできてるんだと理解。


・・・けど、すでに遅く。


「った・・。」


「杏ちゃんっ!!」


見上げた顔に思いきりボールが当たったと同時に、柏木くんの叫び声が聞こえて、意識が途切れた。