ワーッと歓声が上がる中、あたしはなぜか、盛り上がることができずにいた。


胸の前で手を組んで、祈るように試合を見守る。


「・・彼女じゃないんだから。」


冷静に珠樹に突っ込まれたけど、どうしてか心配で仕方がない。


「あいつ、サッカー部なんだから、へましたりしないよ。」


あたしの気持ちを察してか、少しだけ口調の柔らかくなった珠樹になだめられる。


それでも、終始不安がなくなることはなかった。


ただ、柏木くんの活躍は目覚ましく、1人で4得点もした上に、華麗なドリブル捌きを見せてくれた。


「かっこいい・・・・。」


思わず見とれて声を漏らしてしまうほど、柏木くんは真剣で爽やかで。


ゴールを決めた後の本当に嬉しそうな笑顔に、胸がキュンと音を立てた。


「杏ちゃん!!どやった、オレ!?かっこよかった!?」


試合を終えて、タオルで汗を拭きながら走り寄ってくる。


さ、爽やかすぎるっ・・・。


顔を逸らしてしまいそうになるほど、彼は輝いて見えた。


「・・かっこよかった。ほんとに。」


若干挙動不審になりながらも、思ったことを伝えると、心底幸せそうに笑ってくれた。