すっと立ち上がった彼の裾を私は必死に掴んだ。
行かないで、そんな気持ちを込めて。


どこ行くの?なんて聞くと、彼は困ったように笑って『わかんねー』とだけ言った。



『でも、呼ばれてるから。
行かなきゃいけないんだよ』


ポンポン、と私をあやすように頭を撫でるその手は なんだかいつもより冷たい気がして。
とてつもない寂しさを感じた。