「………」 私はもう一度ギュッと唇を噛みしめると、 人通りの多い道を出た。 どこへ続くのかもわからない薄暗い細い道へと進んで行く。 しばらく歩くと風が木々を揺する音しかしなくなった。 さっきまでの道と違って 細く暗い道は 涼しくて、静かで歩きやすくて。 この風の音が妙に心地良い。 誰一人として通らないこの道は、私にはぴったりだと思った。