薄暗い空を見上げる。今日は雲もなくきれいな星空だ。


「さっき見た空と一緒だ。」



するとどこからか、ヒューーと、聞き覚えのある音が聞こえたあと。

ドーーン。


あの花が夜空に舞った。
コウと一緒に見た、あの花だ。


たしか…


「はなび」



そう呟いたとき、私の目からなぜか涙がこぼれた。

コウは、きっと私に見せたかったんだね。こんなにきれいなものがまだまだたくさんあるってこと、教えてくれようとしたんだよね。



そのとき、花火の音に紛れて上の方で多数の人の声がする。こっちにライトの光が照らされる。私は眩しくて目をそらした。



「……ツ、リツ…?リツ!!!あなた、そこから動かないで!!」


聞き覚えのある声。私は無意識に震えた。




だけど逃げないって決めたんだ。私は逃げないって。