肌寒さに目を開ける。
…ここは外だ。
もう薄暗くなっている。
身体を動かすと節々が痛い。なかなか立ち上がれない。


あぁ、そうか、思い出した。
私はこの現実から逃げたくて、はやく楽になりたくて。


「飛び…、降りたんだ…」

あの神社の後ろの、崖から。



「ははは、楽になれると思ったのになぁ。」

そう呟いて、ゆっくりと身体を起こす。
全然楽になんてなれないじゃん。
痛いよ、身体も、心も。忘れようとしてたのに。

急に私の前から消えて、そしてまた急に現れて。あんな言葉残して。



これじゃ、一生かけたって忘れらんないよ…



「ずるいなぁ…」


ほんと、ずるい。