「優ちゃんおはよー!」
いつものように私の家の前で待つ優ちゃんに言う。
「おはよ。今日も遅いね。」
優ちゃんはそう言ってフッと笑うと、わたしを置いて先に進んだ。
私は急いで優ちゃんの後を追いかける。
優ちゃんはそれに気付いたか少し歩くスピードを落とした。
隣に並んで歩く私と優ちゃん…
優ちゃんは、私の肩にかけているスクールバックを奪って、自分の肩にかけた。
いつも他の人に超ラブラブなカップルに
間違えられるんだけど、
それは絶体にあり得ないから‼
優ちゃんは私のこと
どうも思ってないから!
前、好きな人いる?って聞いたら
いるよって言ってたし。
私は、男子とあんまり喋ったことがないから、
特に好きな人とかはいない。
あっ。そういえばまだ自己紹介してないよね?
私は住原絵里(スミハラエリ)。
どこにでもいるようなフツウの女子中学生。
背はそんなに高くないけど、バレー部だから、ジャンプ力はある。(←関係ないよね?笑)
髪の毛は、肩より長くて自然に茶色になってる。
明るくて元気な子に見えるんだけど、実は弱虫ですぐ泣いちゃうんだ。
優ちゃんだけはすぐ気づいてた。
だから優ちゃんはずっと私の側にいてくれてる。
私泣き虫だしほっとけないって…
そして、私の隣にいるこのイケメンな男は、
私の自慢の親友の国沢優介(クニザワユウスケ)です!
バスケ部のキャプテンで私よりだいぶ背が高い。
頭も良くて、いつも勉強を教えてくれる。
ようするに、優ちゃんはなんでも出来るまさに完璧な男なのだ。
いっつも私のことをバカにする優ちゃんだけど、
私のことを心配してくれる。
困った時は、必ず助けてくれる。
悩んでるときは、相談に乗ってくれる。
すっごく優しくて、こんな親友がいて本当に良かったって思う。
優ちゃんは、小学校の時から私以外の女子と話さなかったみたいだ。
話さなかったって言うか、
他の人に話しかけられても
無視してたんだ。
そして、私も優ちゃん以外の男子の話さなかった。
優ちゃんは、私になんでも言ってくれる。
私もそう。
二人の中には秘密なんか1つもない…
…と思う。
今日から中3になる。
桜の木が道の両側に綺麗に並んでいる。
通学路には、自転車を乗って学校に向かっている生徒がたくさんいる。
うちの学校は、歩いて20分くらいかかる。
優ちゃんと一緒に登校するのが毎日のこと。
バスケ部よりバレー部の方が終わるの遅いから、
帰りはいつも優ちゃんが体育館の前で待っていてくれる。
「…うわっ!」