さっきあんな感じだったのに。
裕太は授業中、チラリと真昼を見た。
真昼は裕太を見ていたのか、すぐに視線が合う。
すると、すぐに外されるのだ。
まあ、それは裕太も同じなのだが。
そんな様子は、バンド練習でも行われた。
いつもはうるさいほど意見交換をしていたのに。
「ねぇ、恵……」
休憩時間、隼人にそっと耳打ちされた恵は、明らかに呆れたようなため息を吐いた。
「裕太、ちょっといい?」
帰り道、恵が裕太にそう言った。
「お2人は悪いけど先帰っててくれる?」
にこやかにそう言うと、みんながうなずくのはわかっている。
「…わかった。じゃあね、」
「うん、また。」
真昼と隼人に手を振り返してから、恵は裕太に声をかけた。
「ちょっと、座ろうか?」