「でもまぁ、ゆうちんは真昼いるしね?」
隼人が何気なく言った言葉に、真昼は顔を上げた。
なぜか裕太のほうは見ないで、ニコリと笑う。
「う、ん…そうだね。頑張るよ。」
「ほらゆうちん、真昼がこう言ってるんだから、ゆうちんも頑張らないと。」
「ああそうだな……ってか、なんでゆうちんって呼んでんだよ。」
裕太はチラリと真昼を見た。
いつもなら「ゆうちんって呼んであげようか?」とか悪ノリしてくるのに。
今日は───
「ゆうちん?」
隼人に肩を叩かれ、裕太は視線を戻した。
「あ、何?」
「んー…なんでもない。」
隼人はなぜかへらりと笑って、一歩離れた。
「じゃあ、またー」
そう言って軽快に手を振りながら、恵と教室に入っていった。