2人はしばらくそうやっていたあと、同時にハッとして固まった。
「…………」
「…………」
「わぁっ、ゴメン!」
真昼が握っていた手を離す。
「い、いや、こっちこそ…」
今回こそは、お互いが赤いのがはっきりとわかった。
なんせ、人だかりの中のため、距離が無駄に近いのである。
──真昼は俺と手なんか握って、どう思っただろうか。
──裕太はわたしと手を握って、どう思ったんだろう。
2人はお互いにそんなことを考えた。
裕太は思わず、真昼の顔を見る。
すると真昼もちょうど、裕太を見上げていた。
視線が合う。
お互いに赤い顔を見合わせる。
2人がしばらく何もできずに固まっていると──