──最初はとにかくインパクトがあったほうがいい。
恵がそんなことを言っていたから選んだ曲。
もちろんそれは洋楽である。
ギター2つから入り、ベースとドラムが入ってくる。
そして、真昼は息を吸う。
すでに完璧な英語をリズムにのせて、
みんなにのせて、
真昼の通った声につられて、ギターもベースもドラムも活気づいてくる。
真昼は歌いながら、ふと、屋上で演奏した日を思い出した。
どこまでも飛んでいきそうな音を飛ばして、思いっきり歌ったあの日を。
だが今は、今日は、体育館の中だから音が返ってきた。
それでもどこまでも飛んでいきそうな自分の声がある。
後ろからは吹き抜ける音が聞こえる。
真昼の声に、澄んだ芯がはっきりと含まれた───